未だに日本では、資産形成や投資というと、大人であっても「リスクがあって怖い」「ギャンブルと同じ」と思っている方は少なくありません。OECDの公開データベースから日本の家計金融資産の構成比率を見てみると、現金・預金の比率が約55%、株式や投資信託等の比率は約15%となっており、欧米諸国と比較をすると圧倒的に現金預金の比率が高く、投資の割合が低いことが分かります。特に積極的にリスクを取るアメリカでは比率が逆転しており、現金・預金比率が約12%、株式や投資信託等の比率が約55%となっています。

そうした中で、今年4月から金融教育が必修化されました。未成年である高校生が、資産形成について全国一律で学ぶようになるというのは大きな転換点となります。少子高齢化や国の財政状況を考えると、国や社会が一人一人の生活を守ることができる時代ではなくなってきています。自分の将来は自分で守らなければいけない時代になってきているからこそ、金融について学ぶことは非常に重要です。

ただ金融教育については、それを誰がどのように教えるのかという点で課題があります。現在は家庭科で金融教育が実施されているため、家庭科等の教師が授業を実施することになります。教える側の教師の金融リテラシーがどれくらいあるのか、教えるに足る経験があるのか、といったことが懸念されています。高校での金融教育で分かりにくいとか面白くないと思わせるような授業であっては、若者の金融リテラシーを高めるどころか逆効果になってしまいます。

教師側の金融リテラシーを向上させるための研修に関しては、多忙を極める教師にとっては大きな負担となります。教師の負担を軽減しつつ、効果的な金融教育を実施するためには、金融の専門家等の学校外の講師がオンラインで授業を実施し、興味を持ちやすい金融教育を推進するべきだと思います。日本トレンドリサーチの調査によると、55.9%の方が金融教育の授業は「外部の講師」が担当した方が良いと回答しています。効果的・効率的な金融教育を行うためにも、金融の専門家によるe-ラーニング等の授業を行うべきだと考え、今回の県議会で教育長に提言しました。

千葉県教育長からは、金融の関係団体や専門家の協力を得ながら、学校における金融に関する教育を推進していく、との非常に前向きな回答をいただきました。引き続き、将来に役立つ興味深い金融教育を千葉県で実施できるよう要請したいと思います。

千葉県議会議員
松戸たかまさ